タクシーとの交通事故に遭ったときの示談・慰謝料~その対応方法

タクシーとの交通事故に遭ったときの示談・慰謝料

タクシーとの交通事故に遭ったときの示談・慰謝料~その対応方法

タクシーとの接触・衝突事故に遭ったときは、一般車両との事故よりも、示談交渉にエネルギーを費やすことになります。そうした背景には、多くのタクシー会社が加入しているタクシー共済(協同組合)の存在があります。

任意保険会社よりも、保険金支払い条件が厳しく、示談交渉しても手ごわい相手となります。タクシー共済(協同組合)との示談交渉がなぜ難しいものになってしまうのか、また、どうすれば被害者の方が優位に立てるかについても説明したいと思います。

タクシーとの交通事故はどのようなものか

タクシーがからんだ交通事故統計表を下に掲載します。

タクシー事故 慰謝料
[引用元]東京ハイヤー・タクシー交通共済協同組合ホームページより
上の表は、東京都のハイヤー・タクシー交通共済協同組合が作成したものです。平成29年度を見ると、対人事故ではおよそ9割(88%)が軽傷を負った事故だったことが分かります。また、対物事故は、109件と全体の約40%を占めています。データからわかることは、損害賠償額の大きな事故が少ないという事実です。

このことは、タクシー会社の交通事故対応にも影響してくるのです。タクシーやハイヤーなどの一般貸し切り旅客自動車運送事業については、道路運送法では、任意保険の補償額を対人8000万円以上・対物200万円以上・対物免責額は30万円以下と定めています。

つまり、仮に対物の事故の場合に賠償額が30万円以下(タクシー会社の申告額にもよります)であるならば、任意保険会社は保険料の支払いを免れることになるのです。つまり、軽微な物損事故では、タクシー会社が損額賠償金を支払わなければならないのです。

全体の40%に達する対物事故のうち、何割かはタクシー会社自らが支払うことになっているはずです。この点が通常の自動車交通事故とは異なる点です。

また、ほとんどのタクシー会社では、共済協同組合に加入しており、事故対応をするのがこの共済協同組合となるケースもあるのです。

タクシーとの交通事故に遭った場合には、一般的な交通事故と異なり、加害者側の保険会社が必ず対応するわけにはいかないようです。具体的な交渉相手は以下の3通りが考えられます。

示談交渉相手

タクシー会社の担当者

物損事故の免責額以下の場合には、保険会社が支払いを免れるので、タクシー会社自らが被害者側と示談交渉を行うことになります。多くの場合、タクシー会社の事故処理係が担当するようです。

また、共済協同組合に加入していたとしても、共済協同組合の組織自体が小さいため、事故処理を行うだけの人員が賄えないケースがあります。このようなときにも、タクシー会社自らが被害者との交渉を行うことになります。

保険会社の担当者

任意保険への加入が義務付けられていることから、世の中のタクシー会社が一社たりとも任意保険会社に加入していないとはいえません。この場合は、任意保険会社が、被害者側との示談交渉に臨むことになります。

共済

個人タクシーの場合は、ドライバー個人が示談交渉を行うわけにはいきませんので、個人タクシーの共済(協同組合)が示談交渉の相手となります。また、一般のタクシー会社が加入する共済(協同組合)の中にも、賠償額の算定・支払いだけではなく、示談交渉を担うところがあります。この場合は、共済(協同組合)が示談交渉を行います。

すでに何度か触れていますが、ここでタクシー共済について簡単に説明したいと思います。

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タクシー共済とは何か

いわゆるタクシー共済の「共済」とは、共済協同組合の略の場合がほとんどです。共済は、損害保険等に類似した補償事業ですが、協同組合は中小企業等が構成員となった、非営利の相互扶助組織の意味を持ちます。このため、損害保険の補償事業を行う相互扶助組織という性格を持つと言えるでしょう(以下では、タクシー共済という略称で呼ぶことにします)。

ここで言う、構成員とは、もちろんタクシー会社のことを指します。

それでは、被害者の方がタクシー共済、あるいは、タクシー会社の事故処理係と交渉するうえで、気を付けなければならないのはどのような点でしょうか。

損害賠償の支払いに難色を示す理由

民間の保険会社でも、被害者への保険金の支払いを抑えたいという意向があるものですが、タクシー会社およびタクシー共済にとっては、なおさらのことです。

免責限度額以下の物損事故の賠償金を支払わなければならないタクシー会社は、多くの事故を抱えているわけではなくても、会社の収益を圧迫するような支出を極力避けようとします。また、タクシー共済にとっては、積立額=予算額が減少しないようにするためにも、支払いを極力抑えようとするわけです。また共済に出資している加害者側のタクシー会社にとっても、掛け金が増加することになるため、共済からの保険金の支払いを抑制することが望ましいのです。

被害者にとっては不幸なことですが、こうした支払いを渋るような姿勢が、示談交渉にも現れてくるのです。

被害者が注意したいこと

タクシー会社およびタクシー共済が示談交渉で主張するのは、過失相殺つまり、被害者の過失が大きいこと、損害賠償額の減額などです。場合によっては、交通事故の存在そのものを否定するような主張をする場合もあります。

そうした状況にあって、一体被害者はどのように対処したら良いのでしょうか。

自賠責の支払いにも応じない場合

まず、タクシー共済およびタクシー会社が、自賠責の支払いにも応じない場合、被害者は自ら請求することができます。これを被害者請求と呼んでいます。

この場合には、以下の書類の提出が義務付けられています。


[引用元]国土交通省ホームページより

物損事故の場合

自賠責がカバーしていない、物損事故の場合は以下のような書類が必要とされています。ただし、物損事故を補償する、タクシー会社・タクシー共済・任意保険会社によって、提出する書類が変わってくるので注意したいものです。

  • 交通事故証明書
  • 修理の見積書
  • 事故車両の写真 等

一括払いを渋った場合

加害者側が加入している任意保険会社が、加害者に代わって自賠責保険の保険金を含めて支払いに応じることがあります(一括払い制度)。ところが、任意保険会社は営利企業ですので、被害者が有利になるような示談金・損害賠償額を提示することはまれです。そのため多くの場合、交通事故被害者が任意保険会社との間の、難しい示談交渉に臨まなければならないのです。

それでは、タクシー共済およびタクシー会社が相手の場合はどうでしょうか。

一般的にいって、交渉の難しさは、任意保険会社相手の場合をはるかに凌ぎます。任意保険会社の担当者は、交通事故専門のエキスパートとして、被害者の言い分を拒むような交渉をしてくるわけですが、タクシー共済・タクシー会社は、任意保険会社よりも手ごわいのです。

まとめ

これまで見てきたように、タクシーとの交通事故の場合は、被害者の方が単独で示談交渉をするのが困難な状況になると思います。通常の自動車事故のケースでは、任意保険会社が示談交渉の相手となりますが、この際にも被害者の方が独力で交渉するのは困難なため、そのまま不利な条件を受け入れざるを得ない状況になってしまうのです。そこで、弁護士に相談すれば、より有利な条件交渉が可能となります。

このことは、任意保険会社をはるかに凌ぐ交渉力を持つ、タクシー共済・タクシー会社を相手にするならば、なおさら当てはまる話です。こうしたことから、交通事故に強い弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

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