もらい事故に遭った場合の保険や示談交渉の手順・対応方法

自分に落ち度がないのに追突された等のいわゆる、もらい事故に遭った場合には、慎重な事後対応をする必要があります。もらい事故に遭ってしまった被害者の方の過失割合はゼロとなりますが、待ち受けているのは加入保険会社の示談代行が不可能となるなどの現実です。この難題を乗り越えるための解決策を説明するとともに、交通事故後すぐに対処すべきことについても解説したいと思います。

交通事故による慰謝料請求や増額に強い弁護士法人ベリーベスト法律事務所

もらい事故が起こったら確認したい点

もらい事故とは

もらい事故とは、被害者に責任がない事故のことを指します。被害者に落ち度がない、つまり過失がないため、過失割合は通常100対0となります。分かりやすく言うと、加害者側の過失割合が100であるのに対して被害者側はゼロとなるのです。

例えば、

  • 加害者車両が被害者車両に追突した
  • 加害者車両がセンターラインをオーバーして追突した
  • 加害者車両が信号無視をして追突した

などのケースでは、被害者側の過失割合はゼロとなります。この過失割合に基づいて、損害賠償金の総額を被害者・加害者に按分することで、被害者に支払われる賠償金が決められます。そのため、過失割合がゼロとなれば、損害賠償金を被害者・加害者の双方に按分する必要はありませんから、理論的には、被害者は損害賠償金総額を得られる権利が生じます。

ただ、過失割合がゼロとなった際にも、うっかりしていると損を被る場合も考えられるので、注意して対応しなければならない点は多くあります。そうした項目を以下で解説してみます。

もらい事故後にするべきこと

もらい事故の後にすべきことは、通常の交通事故の場合と基本的に同じとなります。被害者が重傷を負った場合には、救急車両で事故現場から病院に直行しなければならないのは言うまでもありませんが、ここでは、基本的な項目について、それぞれ簡単に説明したいと思います。

警察に連絡する

まず、警察に連絡しましょう。大きな目的は、警察の調書に基づいて発行される交通事故証明書を手に入れるためです。人身事故か物損事故なのかが重要となりますので、警察への届け出は必須です。

事故現場の状況を把握・記録する

警察が到着するまでの間、事故現場の状況を把握したうえで、可能な限りもらい事故に遭った経緯を記録しておきましょう。事故現場の状況は携帯電話やスマホ等のカメラで撮影しておくと、後で有力な証拠となり得ます。

加害者の個人情報を取得する

運転免許証や名刺、ナンバープレート、任意保険加入など保険の状況など、加害者に関する情報をできるだけたくさん入手しておきましょう。

目撃者の確認をする

目撃者の氏名や住所などを確認し、協力をお願いしましょう。事故を目撃した第三者は、後に紛争となった場合の重要な証人となるためです。

加入の任意保険会社へ連絡

任意保険に加入している場合は、事故発生から60日以内に保険会社に通知しましょう。

病院へ行き診断書をもらう

病院に行き診断書を作ってもらいましょう。もらい事故に限らず、交通事故全般においては、被害者がケガをした「人身事故」と、被害者がケガをしていない「物損事故」では、損害賠償の金額等で違いが出てくるので、億劫がらずに必ず病院に行くようにしてください。

交通事故証明書の交付申請を受ける

自動車安全運転センターに交通事故証明書の交付申請を行いましょう。郵送、インターネット、窓口いずれの申請も可能です。

このような段取りを踏んだ後は、いよいよ示談交渉となりますが、注意すべき点が出てきます。

弁護士に依頼する

被害者加入の保険会社は示談代行をしてくれない

肝心の示談が開始される時期は、条件によって異なります。人身事故の場合は、大きく分けて2つのパターンがあります。後遺障害が残るようなケースでは、治療をしても症状が変わらなくなる状態が確認された後(=症状固定後)、そして後遺障害が残らない傷害のケースでは完治した後に、それぞれ示談の交渉が始まります。物損事故の場合は、交通事故後に事故車両の修理などが済み、損害額が確定した後で示談交渉が始まります。

ただし、示談交渉に臨むに当たって注意したいことがあります。それは、被害者の過失割合がゼロのケースでは、加入している任意保険会社が示談の代行をできなくなることです。これは人身事故でも、物損事故でも同様となります。

任意保険会社が示談代行をできなくなる理由は、非弁行為となるためです。以下に分かりやすく説明したいと思います。

被害者に過失がある際には、任意保険会社は保険金=賠償金を支払うことになるため、利害関係を持ちますが、過失ゼロの場合は保険金の支払いがないため利害関係が無くなります。利害関係が無いのに、被害者の損害賠償金の回収を担うことになる、という行為を任意保険会社が代行すれば、弁護士法に違反する非弁行為となるのです。

保険会社が示談代行をしない場合、被害者は、加害者側の保険会社と直接、示談交渉をしなければなりません。保険支払額を抑えたい加害者側の保険会社は、被害者側にも非がある旨を主張してくるなど、示談交渉が難航する恐れは十分あり得ます。

こんな時には、任意保険の弁護士費用特約を利用してみましょう。弁護士費用特約を活用すれば、事故被害を受けた際の弁護士費用負担限度額が300万円のため、交通事故案件で十分な実績のある弁護士に気軽に相談することができます。

もらい事故でも賠償責任を負う場合がある

被害者側にまったく落ち度がないような場合でも、損害賠償の判決が下されたケースもあります。

2015年の4月13日に福井地方裁判所によって、追突事故の被害者側(=被告)の無過失が立証できないことを理由に、被告(被害者)に4000万円の賠償責任を認める判決を出しました。

この交通事故は、判決に先立つ2012年4月30日に発生したものです。福井県のあわら市で、原告が居眠りをしてセンターラインを超えて被告が運転する車に正面衝突したため、原告の車の助手席に同乗していた男性が死亡し、男性の遺族が被告を訴えたという経緯です。

もらい事故の被害者となるはずなのに裁判では被告席に座ることになったうえ、過失がないことを証明できないという理由だけで、4000万円の賠償金を命じられたわけです。

ここでポイントなのは、もらい事故の被害者であっても、本来ならば加害者側であるはずの同乗者等から訴訟を起こされる可能性が少なからずある、ということです。

まとめ

もらい事故に遭ったら、交通事故への対応をしっかりと済ませた後は、すぐにでも信頼と実績のある弁護士に相談するのが無難です。過失割合ゼロの場合は、保険会社の示談代行が期待できないうえ、もらい事故の被害者であっても下手をすると訴訟を起こされる可能性があるためです。

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