ヘルニア後遺症の慰謝料相場と認定について

交通事故によりヘルニア後遺症が残り、腰や首に強い痛みが出た場合は、後遺障害として認定される可能性があります。交通事故で発症したヘルニアを持病や加齢によるものと疑われないためにも、ヘルニアの慰謝料相場や後遺障害の等級、認定を受ける重要なポイントについて理解しておく必要があります。

そこでこの項目では、交通事故によりヘルニアが発症した場合の慰謝料相場と後遺障害の認定を受けるポイントについて解説していきます。

椎間板ヘルニアとは

ヘルニアとは、体内の組織が本来あるべき位置から飛び出す脊柱の骨の病気で、多くは椎間板ヘルニアのことを指します。椎間板ヘルニアは、背骨の腰部、椎骨、椎骨の間でクッションの役割を果たしている椎間板(軟骨)が飛び出し、付近にある神経が圧迫されることで痛みやしびれが出ます。

椎間板ヘルニアの主な原因は椎間板への強い圧力ですが、激しいスポーツや仕事、交通事故などでの腰への負担だけではなく、喫煙、遺伝、ストレスなども深く関与していると言われています。

椎間板ヘルニアには何種類もありますが、交通事故で特に発症しやすい椎間板ヘルニアは、「腰椎椎間板ヘルニア」と「頸椎椎間板ヘルニア」です。つまり、交通事故のケースでは、腰と首にヘルニア後遺症が残ることが多いということです。腰と首の後遺症ということは、事故の原因の多くが追突事故によるものです。

椎間板ヘルニアの症状

椎間板ヘルニアの症状は、神経が圧迫されることにより、腰や足に激しい痛みやしびれなどの症状(坐骨神経痛)を発症させます。主に、重たいものを持ち上げたり、同じ姿勢を長く続けたり、姿勢を変えたりしたときに腰痛や脚の痛みやしびれを伴います。

一般的に、初期段階であれば1~3週間程度で症状が徐々に治まると言われていますが、完治するのではなく、多くの場合はその後に「痛みが強くなる」「痛みが治まる」を繰り返すものとされています。

椎間板ヘルニアが進行すると、椎間板の一部が完全に飛び出したり、椎間板が分離してしまうこともあります。ひどい場合は、排泄障害が発症したり、足が動かせなくなったり、感覚がなくなってしまったりすることもあります。

ヘルニア後遺症の等級と慰謝料相場

交通事故が影響してヘルニア後遺症が残ると、後遺障害の「第12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの」と「第14級9号:局部に神経症状を残すもの」の2つのうちいずれかが認定の対象となります。

後遺障害第14級9号が認定された場合、自賠責基準32万円、任意保険基準40万円、弁護士基準(裁判所基準)110万円、後遺障害第12級13号が認定された場合、自賠責保険基準93万円、任意保険基準100万円、弁護士基準290万円と基準によって大きな差が生まれます。

後遺障害慰謝料は、自賠責基準と弁護士基準で約3倍もの差が付きます。

後遺障害慰謝料以外にも請求できる慰謝料

慰謝料として請求できるものには後遺障害等級以外にも、様々な項目の慰謝料を請求することができますが、慰謝料の多くを占めるものに「入通院慰謝料」と「逸失利益」があります。

入通院慰謝料の相場

通院慰謝料に関しては、自賠責基準では入通院に対して日額4,200円が固定されており、任意保険基準と弁護士基準に関しては通院期間に対して慰謝料が定められています。任意保険基準については、かつて統一した基準が存在していましたが、現在では保険会社それぞれが独自に基準を設けています。任意保険基準の目安は、自賠責基準よりは高く、弁護士基準よりかなり低い基準となります。

自賠責保険=4,200円×治療日数又は実通院日数×2の少ない方を採用することになります。通院6ヵ月、実通院日数72日を例として、自賠責基準と弁護士基準を比べると、自賠責基準4,200×72=302,400円、弁護士基準6ヵ月の通院=116万円と3倍以上の差が出ます。

逸失利益の慰謝料相場

逸失利益は、ヘルニア後遺症が残った場合に、後遺障害が原因で将来の収入が減ってしまった減収分を保証するというものです。逸失利益には現在の収入と労働能力喪失率、労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数(就労可能年数)を基に算定されることになり、労働能力喪失率は第12級では14%、第14級では5%と定められています。

例として、35歳・年収500万円の会社員に後遺障害第12級が認定された場合、500万円×14(0.14)×32(15.803)=1,106万2,100円が逸失利益として請求できることになります。

ヘルニア後遺症は保険会社と慰謝料で揉めるケースが多い

交通事故の衝撃により大きな負担がかかることで、椎間板ヘルニアを発症してしまうケースが多いのですが、ヘルニアの主な原因に激しいスポーツによる負担や加齢、持病によるものが多いことから交通事故で発症したということを疑われてしまうことがあります。

保険会社が「椎間板ヘルニアは事故前から発症していたはずである」と主張してきた場合、交通事故によって発症したヘルニアであっても、加害者にすべてを負担させるのは不公平として、素因減額(損害額から一定割合を減額)することがあります。

ヘルニア後遺症の後遺障害を認定申請した場合、保険会社や自賠責保険の依頼によって自賠責調査事務所(損害保険料率算出機構)が書類審査により認定の判断を行います。なお、病院の医師がヘルニアの後遺症が残ると判断しても、後遺障害の認定には関係ありません。あくまでも認定を決めるのは自賠責調査事務所です。

ヘルニア後遺症の認定で重要になるのは、事故との因果関係の立証、ヘルニアが発症している画像所見と後遺症が残ることを裏付けする医学的所見(他覚的所見)です。

特に一般的なレントゲン画像ではヘルニアを証明することが困難なことも多く、その場合は、画像所見が見当たらず、加齢や既往症がヘルニアの原因であるとして後遺障害等級を非該当とするケースが多々あります。

たとえ交通事故でヘルニアになったとしても、自覚症状だけでは認定されません。後遺障害等級認定を受けるためには、事故が原因でヘルニアが発症したことを証明する証拠が必要になるということです。

ヘルニア後遺症の等級認定を受けるために重要なポイント

後遺障害第12級では画像上でもヘルニアが存在する事実を証明できることが絶対条件です。これに対し第14級では、画像上ヘルニアの症状が確認できなくても、通院実績と医学的所見があれば認定される可能性があります。

第12級と第14級では後遺障害慰謝料が大きく違ってきますので、できることなら第12級に認定されたいと考えるのではないでしょうか。第12級の認定を受けるためには必ずヘルニアが存在し、後遺症が残ることを証明する画像所見が必要になります。

椎間板ヘルニアではレントゲン画像にも映ることがありますが、レントゲンでは異常なしと判断されることもあります。レントゲン検査は骨の大まかな全体像を調べる検査にしかすぎず、磁気を使用して靭帯や筋肉、出血、軟骨、骨挫傷の状態を詳しく調べるMRI検査を受けることで、レントゲン画像ではわからないような神経の状態を証明することができます。

なお、MRIには、弱い磁気の0.5あるいは0.7ステラ(磁気の強さ)、1.5テスラ、3ステラがありますが、3ステラの方が鮮明な画像が撮影できますので、可能な限り大きなステラで検査を受けるようにしてください。

もし、第12級が非該当となった場合でも、「通院実績」と「医学的所見」があれば第14級が認定される可能性があります。通院実績を作るためにも、できる限り毎日通院するようにして、医学的所見を有利にするためにも医師とのコミュニケーションをとっておくようにすることが大切です。

交通事故専門の弁護士に依頼することが解決への近道

自分だけで保険会社と交渉することは困難ですし、ヘルニア後遺症の等級認定を有利に進める書類を揃えたり、的確な慰謝料を請求することも限りなく難しいのが実情です。弁護士に依頼せずに自分で解決しようとすると大きく損をしてしまうことがほとんどです。

自分で後遺障害等級を認定申請した場合の慰謝料基準は、自賠責基準又は任意保険基準となり、もらえる慰謝料が大きく下がってしまいます。交通事故の慰謝料請求において有利な認定結果と多くの慰謝料を得るためには、弁護士への依頼が必須条件です。

ただし、弁護士と一括りに言っても、交通事故専門や債務整理専門、刑事事件専門などと専門分野が全く違いますので、交通事故専門の弁護士に依頼するということが大切です。

多くの交通事故解決実績を持つ交通事故に強い弁護士は、どのような証拠を用意すれば後遺障害が認定されるのかを熟知していますので、申請準備を万全にして等級認定を大きくサポートしてくれます。さらに、交通事故に関する法的知識や保険会社との交渉を得意としていますので、通常よりも多くの慰謝料を獲得できることになります。

交通事故によりヘルニアに苦しんでいるという人は、交通事故に強い弁護士の無料相談を利用してみることが、後遺障害の認定をはじめ適切な慰謝料を獲得できる唯一の近道と言えます。

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