後遺障害等級認定において被害者請求をおすすめする理由とその手続き

後遺障害等級認定において被害者請求をおすすめする理由とその手続き

交通事故に遭って後遺症が残ってしまった場合に、被害者が頼りにできるのは「後遺障害等級認定」です。申請する方法は、被害者請求と事前認定の2つです。事前認定に比べると被害者請求は、望んでいる等級が認定される可能性が高い方法です。

被害者請求を選ぶ理由として考えられる、「事前認定よりも有利になる」「事前認定の等級に不満がある」「事前認定を選ぶことができない」の3つの詳細を明らかにしたうえで、手続きの流れや必要書類といった実務的な部分だけでなく、被害者請求のメリット、デメリットとその解決方法についても説明します。

2つの申請方法

後遺障害等級認定を申請する方法は2つあります。一つは、「事前認定」で、もう一つは「被害者請求」です。加害者側の任意保険会社にすべてをまかせるのが事前認定であるのに対して、被害者請求は文字通り、被害者自身が手続きを行う、という点が大きな違いです。

事前認定に比べると被害者請求は、希望している後遺障害等級認定に通りやすく、より有利な損害賠償額が期待できるといったメリットがあります。

後遺障害は16等級142項目の等級に分類されており、障害の程度によって1級から14級までの等級が決まります。もっとも重いものが1級で、もっとも軽度なのが14級となり、それぞれの等級によって損害賠償額が変わります。

きちんと申請しなければ、望みの等級が認定されずに、期待していた損害賠償額が受け取れないことになるのです。このため、申請には細心の注意を払うことになります。

2つの申請方法のうち、被害者請求は、期待する等級認定にパスする可能性の高い方法です。被害者請求がどのようなものか、詳しく説明してみます。

被害者請求の手続きの流れ

イメージをつかみやすいように全体の流れを追ってみましょう。

被害者請求は、後遺障害等級認定の申請だけではなく、同時に自賠責保険の請求を行うものです。このため、手続きの流れや用意する書類が、事前認定とは異なってくるのです。

被害者は、自賠責保険請求と後遺障害等級認定の申請に必要な書類を用意して、自賠責保険会社に送ります。このうち等級認定に必要な書類は、自賠責保険会社から、第三者機関である保険料率算出機構に対して提出されることになります。

損害保険料率算出機構は、各地にある傘下の自賠責損害調査事務所に調査を委ねます。調査が終わった後、結果が自賠責保険会社に対して報告されます。自賠責保険会社から被害者に対して結果の障害が通知され、保険金が支払われます。

任意保険会社から「被害者請求をすれば一括払いはできない」と言われたら

一般的に言うと、任意保険会社は事前認定をすすめてきます。理由は、一括払いの一環として事前認定を行った方が保険会社にとっては合理的だからです。一括払いとは、支払われるべき損害賠償金の総額を任意保険会社がまとめて被害者に支払うものです。

損害賠償金の総額=自賠責保険金(立て替え払い)+自賠責の超過分(任意保険からの支払い)
自賠責保険金の立て替え払いの中に、後遺障害等級認定の保険金が含まれているというわけです。

このため、被害者請求を行う場合は、任意保険会社から、「一括払いができなくなる」といったクレームがつくことがあります。しかし、ここでためらう必要はまったくないのです。被害者請求は、民法で保障されている権利であるからです。

保険会社に対する損害賠償額の請求(自賠責法第16条)
第十六条 第三条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。

あきらめずに、被害者請求は法律で定められた請求方法であると主張しましょう。

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被害者請求が薦められるべき3つのパターン

被害者請求を選ぶ動機付けとなる要素は、大きく分けて3つに分かれます。心当たりのある読者の方は、該当する箇所をご一読ください。

1. 事前認定と比べて望ましい

積極的に被害者請求の方が良いと考える方は増えています。事前認定と比べると有利な結果が得られるという理由から選ばれるのです。

有利な等級の認定を受けやすい

事前認定では早期に後遺障害診断書を提出することから、症状固定を急かされる可能性があります。これでは後遺障害等級認定に最適な診断書を作成することはむずかしいでしょう。

本来ならば後遺障害等級認定の申請には、参考となる書類等の提出に制限はありません。等級認定を受けるうえで必要と思われる資料・書類を提出すれば、有利な認定が期待できます。高次脳機能障害などの症状を明確にできない後遺障害ではなおさらのことです。

事前認定の場合、任意保険会社が用意する資料・書類は必要最低限のものと考えられます。被害者請求を選んだうえで納得の行くような資料・書類整備をした方が、有利な認定を受けられる可能性が高いのは明らかです。

示談交渉のネックがなくなる

事前認定の場合は一括払いの一環であるため、示談が成立するまで後遺障害等級認定を含めたすべての保険金が支払われないことになります。このため、後遺障害等級認定の保険金を支払うことを見返りに、不利な条件で示談を迫られる可能性もあるのです。

被害者請求であれば、こうした心配は一切なくなります。多くの場合、後遺障害等級認定の保険金を自賠責保険から受け取った後で示談交渉に臨むことになるので、後遺障害等級認定の支払いを交渉のカードにされる恐れはありません。

前もってこのシナリオが予想できる方は、被害者請求を選ぶことになります。示談交渉とは別に後遺障害等級認定の申請を進めることができるうえ、早ければ示談が成立する前に後遺障害等級の保険金を受け取ることができるのです。

2. 事前認定の後遺障害認定等級に不満がある

事前認定で認められた後遺障害等級認定に不満がある際には、あらたに被害者請求を行うことが可能です。

後遺障害等級認定に不満がある場合の対応方法には、異議申し立てなどの手段がありますが、異議申し立てを行う前に、被害者請求で申請してみる価値はあります。異議申し立てよりも、望んでいた等級認定が通りやすいからです。

3. 被害者請求に頼らざるを得ない

しかるべき理由によって事前認定を選べないために、被害者請求に頼らざるを得ないケースもあります。

任意保険会社が後遺障害等級認定をたてに不利な条件で示談を決めようとしている

任意保険会社が後遺障害等級認定の保険金の支払いをカードとして、一括払いの示談交渉を被害者が不利になるように進めてくる場合があります。つまり、任意保険会社が提示した損害賠償額に納得が行かなかったとしても、後遺障害等級認定の保険金支払いが滞るのを恐れて、不利な条件とは分かりながらも従わざるを得ないという状況です。

この点についてはすでに、「示談交渉のネックがなくなる」で説明しましたが、実際に現在進行形で不利な示談交渉が進められているケースでは、被害者請求に切り替えるメリットが十分にあるはずです。

加害者が任意保険に加入していない

加害者が任意保険に加入していない場合は、損害賠償額が自賠責保険の範囲内になってしまううえ、事前認定を選ぶことができなくなります。残された道は、被害者請求のみとなりますが、入念に準備すれば望みの等級が認定される可能性は高まります。

被害者請求に必要な書類

被害者請求に必要な書類は、想像以上に多くあります。ここでは必要最小限の書類の説明をします。
・自賠責保険支払請求書(自賠責保険の定型の書式)
自賠責保険会社から送られてくる書類の中に入っています。

・交通事故証明書
警察署や自動車安全運転センター事務所などで発行してもらいます。または、任意保険会社からコピーを送ってもらうことも可能です。

・事故発生状況報告書
自賠責保険会社から送られてくる書類に入っています。この報告書によって、事故が起こった状況について説明します。

・診断書・診療報酬明細書
担当医の診断書と診療報酬明細書を作成してもらいます。治療した医療機関が二つ以上の場合は、すべての機関に対して作成を要請します。

・印鑑証明書
被害者=請求者の印鑑証明書を用意します。

・休業損害証明書
通院治療のために仕事を休まざるを得なくなった場合には、勤め先に休業損害証明書の作成を依頼します。

・委任状
第三者が請求する場合、所定の様式に基づいた委任状が必要となります。委任状には委任者の実印を押印するので、委任者の印鑑証明書が必要になります。

・後遺障害診断書
症状が固定してから担当医に作成してもらいます。専用の書式なので注意してください。

・レントゲン写真等
受傷時や症状固定時など治療期間中に撮影した画像・レントゲン写真を用意してもらいます。レントゲン等の医学的な証拠は、必要最小限の書類ではなく、症状に合わせたレントゲン・CT・MRI等の画像を送付した方が有利となります。

・その他の書類
追加的に後遺障害の症状を説明する場合、報告書等を送付するのは問題ありません。また、家族や同僚の供述書など、症状や状況に応じて作成しましょう。有利な等級の認定を受けるためには、必要最小限の書類をきっちりと用意することはもちろん、必要に応じた書類の用意・作成がものを言います。

被害者請求のデメリット

これまで見てきたように、被害者請求は、有利な認定が受けられる可能性の高い方法であることに間違いありませんが、提出する書類が多いというデメリットがあります。すなわち、時間と手間、それに費用がかかるということです。

提出書類を【必要最小限の書類+必要と思われる場合に作成する書類・画像等】とに分けてみます。

どちらにも時間・費用がかかるのは間違いがありません。ところが、必要最小限の提出書類のうちの後遺障害診断書、それに必要と思われる場合に作成する書類・資料には、医学的な裏付けが不可欠です。これを用意しなければならないのが二つ目のデメリットです。

その医学的根拠は、自賠責法の後遺障害等級認定にのっとったものである必要があります。どのような医学的証拠がふさわしいのかを判断する法的なセンスは、時間・費用といった労力以上の要素であることは明らかです。被害者の方が独力で解決するのは困難だと言えるでしょう。

まとめ

被害者請求は、理想の等級認定を実現する可能性の高い申請方法です。その半面では、用意する書類が多岐にわたるうえ、必要に応じて医学的根拠のある有効な書類をそろえなければならないというデメリットがあります。自賠責法と医療の両方の知識を持ち合わせていなければ、申請は容易ではありません。

交通事故に強い弁護士は、自賠責法と後遺障害の両方に通じていますので、弁護士に相談されることをお勧めします。

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