保険会社が「治療費打ち切り」したい3つの理由と宣告されたときの4つの対処法

保険会社から「治療費を打ち切る」と言われて困ってないでしょうか?

「ケガが治ってない」、「むちうちなど後遺障害の可能性がある」にも関わらず、保険会社からの一方的な打ち切り宣告に納得できないという被害者の方は少なくないと思います。

この「治療費打ち切り」は保険会社と被害者との間で争点となることが多いポイントです。そのため被害者は正しい知識を持って対応しないと不利な状況で示談させられることになります。

保険会社が「治療費打ち切り」したい3つの理由と宣告されたときの4つの被害者請求の対処法について解説します。

治療の打ち切りのタイミング

保険会社は、大ケガで外傷がある場合の通院、入院の治療は別として、事故の約3~4ヶ月後に「治療打ち切り」を宣告してくるのが一般的です。

治療も約6ヶ月を経過すると治療費も大きな金額となりますし、後遺障害等級認定が認められやすくなります。つまり保険会社は損害賠償請求で自社が不利な解決(示談)とならないようにするため「治療費打ち切り」を宣告してくるのです。

保険会社が治療費打ち切りを迫る3つの理由

保険会社が治療費打ち切りを迫る理由は大きく3つあります。「治療費を抑制したい」、「早く示談したい」、「後遺障害等級を認定したくない」というものです。

治療費打ち切りとは、被害者の状況などは考慮せずに、治療費、慰謝料(逸失利益、休業補償、後遺傷害など)などの損害賠償額を少なくしたいという保険会社の立場を明確に示す交渉手段なのです。

1.治療費を少なくしたい

保険会社は被害者の治療・通院について敏感な対応をします。治療費を負担するのは保険会社ですので、被害者の医療機関への通院回数を抑えたいと考えます。この治療の中には整骨院への通院も含まれ、2重に通院されると治療費や慰謝料も多額になりますので整骨院への通院に対しても厳しいチェックを入れてきます。

また、後遺症治療のための「マッサージ」、「鍼灸」、「温泉治療」、「高額診療」、「過剰診療」などは請求を認めないこともあります。また、勝手に転院した場合にも治療費を認めないなどの主張を繰り返すことがあります。

しかし治療の継続や整骨院への通院はあくまで医師の診断と被害者本人によって決められるものです。保険会社と治療費で揉めたら相手の主張に誤りがないか専門家である弁護士に相談するなどの対応が必要です。

2.症状固定し示談を早く終わらせたい

保険会社は「治療費打ち切り」を通告した後には、ほとんどのケースで「症状固定」を促してきます。症状固定とは、簡単に言うと医師が診断をもとに患者と話し合いを持ち、これ以上は治療の必要はないという診断結果を出すことです。

症状が固定されると次は示談というのが損害賠償交渉の一般的な流れです。保険会社は、「治療を長引かせない」、「後遺障害等級を認定させない」ために、頃合いを見て「治療費打ち切り」から「症状固定」をさせて示談を早く終わらせようとします。

また、保険会社の担当者は膨大な数の事故案件を抱えているため案件を少しでも減らしたいという事情もこの中には含まれます。

3.後遺障害等級を認定したくない

後遺障害等級は1~14級まであり、この等級が認定されると損害賠償額は大きく跳ね上がります。等級とともに治療継続、逸失利益なども認められるために保険会社としては認定したくないという事情があります。

そのため、大きな外傷がなければ後遺症は認めないという前提で被害者と交渉をおこないます。

保険会社は「治療費打ち切り→症状固定→示談」という手続きを素早くおこない後遺障害等級をさせないように進めようとします。

もし、外傷が見られなくても「痛みが続く」、「症状が改善されない」という後遺症の場合には、医師にそれを伝えて後遺障害等級認定の手続きに入るべきでしょう。また、医師が曖昧な診断をするようなら後遺障害認定に強い弁護士に相談して等級認定のサポートを受けるのが適切な対応です。

もし後遺障害が認められなかった場合にも、弁護士を介して後遺障害等級認定の異議申し立てができますので覚えておきましょう。

保険会社の治療費内払いの考え方

治療が長期間になると治療費は多額になりますので被害者にとっても大きな負担になります。そこで保険会社は治療費を示談前に内払いすることがあります。(もし内払いを受けてなければ保険会社と交渉できます)

ただし、この内払いは障害事故の自賠責基準の補償となる120万円を目処に保険会社が任意で負担するものです。保険会社としては示談する場合にどれ位の賠償額になるかを見込みながら内払いをします。

被害者にも過失がある場合には過失相殺されて損害賠償金は減額されますので、治療費が賠償額を上回る可能性が出てきます。このように払い過ぎを避けるために保険会社は治療費の打ち切りを宣告する場合がありますので覚えておきましょう。

また、保険会社は自賠責基準という低額な基準により損害賠償金と内払いを計算しますので、任意保険基準あるいは裁判基準という高額な賠償が得られるように治療中から弁護士に相談して有利な示談となるように進めていきたいところです。

治療費打ち切りへの対処法

突然、保険会社から「治療費を打ち切る」と言われ途方に暮れている被害者の方は多いと思いますが、打ち切り宣告されてもすぐに症状固定しないことです。打ち切り宣告への4つの対処法について解説します。

1.医師に相談し診断書を書いてもらう

治療の継続が必要かどうか判断するのは医師です。保険会社から「治療の打ち切り」を言われたときには、まずは医師に相談して診断を仰ぐことです。医師が「まだ治療は継続したほうが良いだろう」と言ってくれるなら診断書に「症状固定には至らない」という旨を書いてもらいましょう。

気をつけたいのは医療機関が保険会社の推奨や指定であった場合です。医師の治療に保険会社の意向が強く反映されることがあるためすぐに症状固定させられることがあります。保険会社の推奨する医療機関に通院している場合には転院を検討しましょう。

2.保険会社と交渉して打ち切りを伸ばしてもらう

「治療費を打ち切る」と保険会社から言われたとしても、それをすぐに受け入れないことです。例えば「痛みがあるのであと1,2ヶ月ほど待って欲しい」などと期間を延ばす交渉はおこなうべきです。それで打ち切りを待ってくれることもあります。

「後遺症の可能性がある場合」には、打ち切りを待ってもらっている間に弁護士に相談して、医療機関への働きかけや後遺障害等級認定の準備を進めるのも有効です。

3.健康保険で治療を続けながら後遺障害等級獲得の準備をする

後遺症があるにも関わらず「治療費を打ち切られてしまった」ならば、とりあえず自分の健康保険で治療を継続することです。交通事故では社会復帰のためにケガや後遺症を治すのが最優先事項です。

自費で治療を続けながら、後遺障害等級認定を獲得へ向けて等級認定の専門家である弁護士からサポートを受けるのが正しい対処法です。医師の中には後遺障害等級認定について専門知識を持たない人も少なくありませんので後遺障害に精通した弁護士へ相談しましょう。

4.交通事故に詳しい弁護士に相談する

治療費打ち切りで悩んでいる被害者は後遺症があるので治療を継続したいという方ばかりだと思います。前に述べたように「治療費打ち切り」と「症状固定」は交通事故の損害賠償請求で有利な解決になるかそうでないかの大きなポイントです。ここで「治療を継続する」、「後遺障害等級を獲得する」ことによって損害賠償金は2倍も3倍も増額することがあります。

もし「保険会社の強引な交渉で困っている」、「医師の診断が適切なのか分からない」という場合には、交通事故に詳しい弁護士に相談することです。保険会社との交渉全般から医師への適切な働きかけなど、苦しい状況を大きく改善してくれます。

また、保険会社と示談をするにしても自賠責基準ではなく裁判所基準という高額な補償を目指して示談するべきです。

まずはご自身の治療状況、保険会社の主張、後遺障害等級が獲得できるかなど弁護士に相談して「保険会社の治療費打ち切り」に負けない損害賠償交渉をしましょう。

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