交通事故の過失相殺とは?損害賠償で損をしないための対処法を解説

交通事故の過失相殺とは?損害賠償で損をしないための対処法を解説
この記事でわかること

  • 過失相殺は過失割合とは違う
  • 過失相殺は損害賠償(慰謝料)に大きく関係する
  • 割合相殺の計算方法や決まり方がわかる
  • 保険会社が主張する過失相殺を安易に受け入れてはいけない

過失相殺は、交通事故の被害者が請求する「損害賠償額」に大きな影響を与えるため、理解を深めることが重要です。

もし、保険会社の提示する過失相殺を安易に受け入れてしまえば、被害者は損害賠償請求で大きな損をすることになってしまいます。

この記事では、「過失相殺とは」「過失相殺と過失割合の違い」「過失相殺の計算方法」そして「被害者が損害賠償請求で損をしないための対処法」を解説します。

交通事故における過失相殺は損害賠償金に影響する重要な判断基準です。過失相殺をしっかり理解して適切な補償を受けるようにしましょう!

過失相殺とは

「過失相殺」とは、交通事故の被害者が加害者側に損害賠償請求をする際に、賠償金額から被害者の過失割合分を減額することを指します。

わかりやすく説明すると、例えば100万円の損害賠償金を被害者が受け取れると仮定します。ただし、その事故では被害者にも少なからず事故の責任(過失)があるとされ、被害者は1割の過失を負うことになったとします。

この場合に、被害者が受け取れる金額は、被害者の過失割合分である「1割」を差し引いた90万円となります。このように、「損害賠償金から過失割合を減額すること」を過失相殺といいます。

保険会社からの納得のいかない過失相殺を受け入れてしまうと、被害者は損害賠償請求で損をすることとなってしまうため注意が必要です。

過失相殺と過失割合の違い

過失相殺と似た言葉に、「過失割合」というものがあります。この2つは似ているようで異なるため、分けて考える必要があります。

過失割合とは、交通事故の加害者と被害者の間で、どちらにどれだけの過失(責任)があるかという割合を数値化して示すものです。

例えば、交通事故に遭ってしまい加害者に7割責任があり、被害者に3割責任があると認められた場合、過失割合は「加害者70:被害者30」のように表すことになります。

一方で、先述したよう過失相殺とは、当事者の過失割合に従って、交通事故の損害賠償額を減額することを指します。

過失割合は、「事故責任の割合」、過失相殺は「過失割合に基づいて損害賠償額を減額すること」と理解しましょう。

過失相殺の計算方法と具体例

過失相殺によって被害者が請求できる損害賠償額が減少する仕組みを、計算方法と具体例をもとに考えてみましょう。

今回例にあげる事故の詳細は以下のとおりです。

・過失割合:「加害者90:被害者10」
・加害者に請求する損害賠償額「100万円」

被害者の過失は10%ですから、この例を過失相殺の計算式に当てはめると以下のようになります。

※画像:alt=”過失割合の計算画像”
したがって、被害者が受け取ることができる損害賠償額は、本来の100万円から10万円をひいた90万円ということになります。もちろん、実際の事故ではここまで単純とはいえませんが、過失相殺によって賠償金が減る仕組みが理解できるかと思います。

過失相殺は自賠責と任意保険で扱い方が異なる

交通事故の被害者が加害者に賠償請求をする際、賠償には「自賠責保険」か「任意保険」のどちらかが適用されることになりますが、この2種類の保険では「過失相殺」に対する対応が大きく異るため注意が必要です。

加害者が任意保険に加入していた場合、被害者は「任意保険の保険会社」に対して損害賠償を請求を行います。この場合、損害賠償金は過失相殺によって「被害者の過失分」だけ賠償金は減らされてしまいます。

しかし、「自賠責保険」に対して損害賠償を請求する場合には、被害者に重大な過失がある場合を除けば、過失相殺で賠償金が減らされることはないことになっています。

なぜなら、自賠責保険は「被害者の救済」を目的に作られているため、この目的を果たすために被害者に重大な過失が無い限りは減額されないしくみになっているのです。

したがって、任意保険の場合は過失相殺が適用され、自賠責保険の場合は過失相殺は適用されないと覚えておいてください。

過失相殺率の決まり方

過失相殺が損害賠償金の請求に大きな影響をあたえることは理解できましたが、この過失相殺率(過失割合)は誰がどのように決めるのでしょうか。

示談交渉を行い和解を目指す場合は、過失割合を決定するのは「加害者側の保険会社」です。保険会社は、警察が作成した「実況見分書」を検討し、事故の過失割合を算定していきます。

過失割合は事故内容や状況などによって変わりますが、1から全てを算定するわけではなく、過去の判例などで決められた基準をもとに決められます。

保険会社が過失割合を算定する際には、以下の3つの基準表が用いられているため、自分でより詳しい情報を知りたい場合には手に入れて参考にしてみると良いでしょう。

「民事交通訴訟における過失相殺等の認定基準」(別冊判例タイムズ)
「交通事故損害額算定基準」(日弁連交通事故相談センター編)
「損害賠償額算定基準」(東京三弁護士会交通事故処理委員会編)
過失割合は、これらの基準表と当該事故を照らし合わせ、保険会社によって決定されます。ただし、保険会社も様々な事故案件を抱えています。そのため、必ずしも常に正しい算定が行われるわけではないということを覚えておいてください。

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過失相殺によって損害賠償金を減らさないための対処法

過失相殺によって損害賠償金を減らさないためには、被害者が「保険会社との交渉」を通して「過失割合の見直し」を行う必要があります。

以下で詳しく解説します。

納得のいかない過失割合は保険会社と交渉する

先述のとおり、保険会社は様々な交通事故案件を抱えていることから、ひとつひとつの交通事故を精査せずに処理を行うケースも少なくありません。

さらに、保険会社はあくまで経済的利益を目的とした営利団体であるため、被害者に払う賠償金を少なくしたいとの思いから被害者に高い過失割合を提示してくる場合もあります。

そのような、被害者にとっては到底納得位のいかない過失割合を提示された場合は、保険会社と交渉し過失割合を見直してもらわなければなりません。なぜなら、保険会社の言うがままに示談を成立させてしまえば、被害者の受け取れる損害賠償金が大きく減ってしまうことになるためです。

そして、一度成立した示談は原則として覆すことが難しくなるため、自分の納得のいかない提案は受け入れるべきではありません。とはいえ、保険会社は交通事故の知識が豊富なプロフェッショナルです。自分では到底知識や交渉にかけられる時間がない場合には、交通事故に強い弁護士に依頼することも考えるとよいでしょう。

自分に過失がないことを証明する

保険会社の提示する過失割合を是正するためには、被害者に「過失はない」あるいは「提示された過失割合が大きすぎる」ということを被害者自身が証明しなければなりません。

そのためには、
・交通事故の状況や道路環境の検討
・道路交通法に定められた優先関係などの把握
・事故の発生を予想、回避できたかの証明
・当該事故と基準表の比較

などをひとつずつを検証したうえで、保険会社が提示した過失割合を是正するよう交渉していくのです。しかし、これらの検証は素人に簡単にできるではないのです。長い時間が必要なだけでなく、法律や保険といった専門知識が欠かせません。

さらに。保険会社との交渉がうまく行かない場合、調停や訴訟をおこなうことになりますが、交渉を行う場所が変わっただけで、基本的には交渉する内容は同じです。

そのため、過失相殺で損害賠償金を減らさないためには、保険会社に対抗できるプロに交渉を依頼する必要があるのです。

過失相殺の相談を弁護士にするメリット

過失相殺が損害賠償金に大きな影響をもたらすことは理解いただけたかと思います。実際にこの記事を参考にしていただくことで、過失相殺を交渉する際には大いに役立つと思います。

しかし、実際に交渉を始めるとなると、交通事故の知識に乏しい被害者自身でこれらを参考に完璧にこなすことは現実的とは言えません。場合によっては、交渉がうまくいかずに過失相殺によって損害賠償金が減らされてしまう可能性もあります。したがって、過失相殺で損害賠償金が減らされてしまう前に、交通事故に強い弁護士に相談するべきです。

過失相殺を交通事故に強い弁護士に依頼することで、被害者の方には以下のようなメリットがあるのです。

過失割合の見直しを依頼できる

弁護士に依頼することで、過失相殺率の見直し交渉を代行してくれる場合があります。

過失相殺率を見直すためには、「事故の検証」や「過去の判例をもとにした立証」が必要になります。これを法律の知識に乏しい被害者がすべて行うとなると、多大な労力がかかります。

交通事故に強い弁護士であれば、「保険会社の提示した過失相殺率は正しいのか」「過去の判例に似た事例はないのか」といった調査から、必要があれば事故現場での検証も行ってくれるのです。

損害賠償金を増額できる

さらに、弁護士に依頼することで「損害賠償金」そのものを増額させることが可能になります。仮に、過失相殺率が是正できないケースであっても、弁護士に依頼することで被害者が有利になるような示談交渉を行ってくれるというメリットがあるのです。

まとめ

交通事故の被害者になってしまったにもかかわらず、納得のいかない過失相殺で損害賠償金が減額されてしまうことは避けるべきでしょう。

交通事故に強い弁護士は被害者にとって最適な解決方法を提案することができます。まずは相談されることから始めませんか。

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