交通事故の慰謝料に税金はかかるのか?課税対象となるケースを解説
結論を先に言ってしまうと、交通事故の慰謝料は原則として非課税です。ただし例外的に課税対象となることもあります。この記事では、交通事故の慰謝料が非課税となる根拠を示したうえで、例外として課税されうるケースについて考察します。
交通事故の慰謝料は課税対象なのか?
まず初めに、個人に課せられる税金について考えてみましょう。代表的なものに所得税や贈与税などが挙げられますが、これらは基本的に利益を得たときに課せられるものです。
交通事故の慰謝料は利益に該当しないから原則として非課税
では交通事故の被害者になったときに、加害者側から支払われる慰謝料はどうでしょうか?これは交通事故によってマイナスになったものをゼロに近づけるためのものなので、利益には該当しません。したがって交通事故の慰謝料は原則的に非課税となります。
交通事故の慰謝料の課税に関する法律
交通事故の慰謝料が非課税であることは、法律が裏づけています。所得税法第9条は所得税法で非課税となるものを列挙しており、同条17号で「心身に加えられえた損害」に起因して取得する保険金を挙げています。
交通事故の慰謝料が課税対象になる可能性があるケース
交通事故の慰謝料は原則的に非課税ですが、どんなルールにも例外はあります。交通事故の慰謝料が課税対象となる可能性があるケースを具体的に見ていきましょう。
交通事故の慰謝料が損害の補填の範囲を超える場合
交通事故の慰謝料が非課税になるのは、あくまでも損害賠償として認められる範囲の慰謝料に限られます。交通事故の加害者が自責の念にかられ、被害者に対して相場を超える慰謝料を支払うことがまれにありますが、相場を過剰に超えた慰謝料に関しては、課税対象となる可能性があるので注意が必要です。
死亡事故の慰謝料を遺族が相続する場合
慰謝料は基本的に、受けた損害を補填する意味で本人が受け取るものなので、所得ではなく非課税という扱いですが、被害者が死亡した場合はその限りではありません。
交通事故で被害者が死亡した場合、本来なら被害者本人が受け取るはずの死亡慰謝料は、法定相続人である遺族が相続します。被害者が受け取る慰謝料は相続財産に該当するため、ほかの財産と合計して相続税の基礎控除額を超えるものについては相続税が課せられます。
交通事故で被害者が重体となり、慰謝料を含む示談金を加害者から被害者が受け取ってから死亡したら、慰謝料は相続財産とみなされて相続税の課税対象となります。
損害賠償以外の意味を持つ見舞金
非課税として扱われる交通事故の慰謝料は、損害賠償の性質を持つものに限られます。一方で、見舞金として扱われる金銭の中には、損害賠償以外の意味を持つものがあります。
たとえば、交通事故の被害者がこれまでと同じようには働けなくなることが考えられます。本来なら休業損害金として加害者側から補填されるべきところですが、全額の保証を受け取れずに収入がダウンするケースがあります。
こうしたケースで、被害者の勤務先が見舞金という名目で不足している金銭を支払ってくれることがあります。そのようにして支払われる金銭は、名目上は見舞金であっても、実態は収入に代わる声質を持ったものだとみなされることがあります。この場合、勤務先から支払われる見舞金が課税対象となる可能性があります。
慰謝料以外にもある非課税の賠償金
ここまでは交通事故の慰謝料について解説してきましたが、実は慰謝料以外にも非課税となる賠償金があります。ここではその代表的なものとして、3種類の賠償金について説明します。
交通事故による休業損害に対する賠償金
休業損害金は交通事故によって働けなくなり、給料などの収入が減ったときに認められるものです。給料には所得税がかかりますが、休業損害金を受け取る場合、その支給額は課税されないと所得税法で規定されています。
交通事故による物的損害に対する賠償金
自家用車に乗っていて交通事故にあった場合、自家用車の損傷も賠償の対象となります。仮に車両が大破して修理費が車両時価額を上回る場合は、被害者は車両時価額を賠償金として受け取るのが一般的です。
この物的損害に対する賠償金も、原則として非課税として扱われます。ただし損傷を受けた車両や、その車両に積んでいた物品が事業用の資産だと認定された場合はその限りではありません。
交通事故による人身傷害に対する保険金
交通事故で負傷した際に、過失割合に関わらず、契約内容に従って自身が加入している保険会社から支払われる保険金を人身傷害保険と言います。この人的傷害保険も、損害賠償としての性格を持つものであり、原則として非課税とされています。
適切な賠償を受けるには交通事故に強い弁護士へ相談を
交通事故の被害者になったとき、加害者側に対して適切な賠償を求めるのは当然のことです。ただし賠償は多ければ多いほどよいというものではありません。慰謝料や見舞金なども、相場を大きく超えて過剰だと判断された場合、課税対象となってしまうからです。
事故後の賠償について自分では判断がつきにくいことがあれば、交通事故に詳しい弁護士に迷わずに相談すべきです。年に何十件、何百件という案件を受け持つ弁護士は、交通事故における賠償の問題について様々な情報を持っています。
どのくらいの補償が受けられるのかは交通事故の被害者にとって大きな関心事ですが、難しいことはプロに任せて自分は治療に専念することも重要です。交通事故で悩んだときは交通事故に強い弁護士にぜひ相談してみてください。
まとめ
「例外のないルールはない」という言葉がありますが、原則として非課税である交通事故の慰謝料も、場合によっては課税対象となることがあります。慰謝料と同様に、休業損害に対する賠償金や物的損害に対する賠償金、人的損害に対する保険金も基本的には非課税ですが、場合によっては課税対象となりうることをご理解いただけたことと思います。
繰り返しになりますが、補償は多ければよいというものではありません。交通事故の被害者になったら、交通事故に詳しい弁護士に相談するなどし、「適切な」補償を求めていく姿勢が重要になります。
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