歩行者が関わる交通事故の危険性と過失割合とは?

歩行者が関わる交通事故の危険性と過失割合とは?

歩行者が交通事故に遭うと、大きな被害を受ける傾向にあります。歩行者の交通事故による致死率は他の交通手段よりも高く、その危険性の高さを物語っています。

歩行者が青信号で横断歩道を渡っていたのであれば、原則的には歩行者に過失はありません。そのため、賠償金を全額請求することができます。しかし、信号無視や横断歩道付近の道路横断をしていた場合は過失割合が生じ、それに応じた賠償請求になります。

歩行者の過失割合が大きいときは、相手側との示談交渉や民事訴訟を行うよりも、自賠責保険に被害者請求をする方が多額の賠償額を受け取れる可能性があります。交通事故に遭い、相手の保険会社の言うままに示談交渉を続けていると、過失分によって賠償金がかなり減額されてしまうおそれがありますので、弁護士に相談するべきです。

当ページでは、歩行者が関わる交通事故の危険性と過失割合についてご説明します。

歩行者が関わる交通事故の特徴

交通事故というと、自動車同士の事故を思い浮かべるかも知れませんが、それだけではありません。自動車と自転車のほか、自動車と歩行者、自転車同士の事故もあります。特に自動車と歩行者の交通事故は最も被害が大きくなりがちで、危険なものです。

ここでは、歩行者と自動車の事故の特徴を知るために、事故死傷者数や致死率、事故原因を見ていきます。

歩行者は交通事故での死亡率が高く危険

歩行者と自動車の交通事故は歩行者の死亡率が高く、危険なものです。自転車と自動車や自動二輪車(バイク)と自動車の交通事故と比べても、致死率が高くなっています。言わずもがな、歩行者は生身の人間ですので、走行中の自動車に衝突されることは人が鉄の塊に衝突されることに等しく、大きな被害を受けてしまうのです。

交通ルールを守ることは当然ですが、道路を渡るときは気を緩めずに必ず車の往来を確認することも歩行者には求められています。

歩行者の事故死亡率とは

歩行者の死亡率が高いことを説明しましたが、ここで平成29年の状態別死傷者数と致死率を見てみましょう。致死率は死者数を死傷者数で割り、百分率にしたものです。

平成29年の状態別死傷者数
状態別 死傷者数 死者数 致死率
自動車乗車中 380702人 1221人 0.32%
自動二輪車乗車中 30930人 448人 1.45%
原付乗車中 30234人 184人 0.61%
自転車乗用中 89368人 480人 0.54%
歩行中 52539人 1347人 2.56%
その他 768人 14人 1.82%
合計 584541人 3694人 0.63%

死者数で見ると、自動車乗車中の人の死者数も多いのが分かります。しかし自動車乗車中は怪我人も合わせると38万人以上いますので、致死率はかなり下がります。

一方で、歩行者の場合は死傷者数が約5.3万人で、死者数は最も多い1347人です。致死率は2.56%となっており、200人中5人が交通事故で亡くなる割合になります。

死亡事故に遭う歩行者が一番多い年齢とは?

交通事故で一番多くの歩行者の犠牲者を出す年齢層は70歳以上の方だということが分かっています。これは東京都のデータですが、平成29年中の歩行中の交通事故死者の年齢層を調べたところ、70歳以上が半分以上を占めています。

都内の交通事故死亡者数
年代 10歳未満 10歳代 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳以上
死亡した歩行者数 4人 0人 4人 3人 7人 11人 6人 41人

70歳以上は運動能力が落ち、とっさの判断が間に合わないため事故に遭いやすいことが予測できます。当人は大丈夫だと思っていても、いざという時に何が起こるか分からないため、しっかりと交通ルールを守って道路を渡るべきだと言えます。

歩行者と自動車の事故の原因

歩行者と自動車の事故原因としては以下のようなものが挙げられます。

  • 飛び出し
  • 横断歩道外横断
  • 信号無視
  • 禁止場所横断
  • 徘徊酩酊

その中でも徘徊酩酊は致死率がとても高く、問題と言えます。自動車側にとっても、歩行者には理性があるとみなしているため、自ら道路に出てきたり、進路を塞いだりするなどの行動をされると避けきれないでしょう。それは飛び出しにも言えます。

歩行者でも過失割合が上がるケース

交通事故が起こると、警察が事故状況を調べ、実況見分調書を作成します。保険会社はそれを基に過失割合を決め、示談金を決定します。

通常は歩行者の過失割合は高くありません。歩行者は道路において弱者の立場であるため、交通事故の過失割合が軽くみなされます。

たとえば、青信号で横断歩道を渡っているところに自動車が信号を無視して来て衝突した場合、過失割合は自動車:歩行者=100:0(10対0)となります。自動車・歩行者の信号が共に赤だったとしても、事故の過失は自動車:歩行者=80:20となります。飛び出しや酩酊徘徊などの過失の大きい行為をしても、10対0で歩行者が加害者になることはありません。

では、歩行者の過失割合が5割を超えるケースにはどのようなものがあるのでしょうか。以下をご覧ください。

信号機のある横断歩道での事故

「歩行者と直進車の事故」で歩行者の信号が赤であった場合です。

  • 歩行者が赤で横断開始、車が青で進入 → 歩行者:自動車=70:30
  • 歩行者が赤で横断開始、車が黃で進入 → 歩行者:自動車=50:50

信号機のある横断歩道での事故


歩行者が信号無視をしているケースです。信号無視のため、歩行者の過失割合が高くなっています。最初の例では自動車側に安全運転義務違反があることが前提とされます。

信号機の設置されている横断歩道の直近の事故

「車が横断歩道を通過後の事故」で歩行者の信号が赤だった場合です。

  • 車が黄で直進、歩行者が赤で横断開始 → 歩行者:自動車=50:50
  • 車が青で直進、歩行者が赤で横断開始 → 歩行者:自動車=70:30

信号機の設置されている横断歩道の直近の事故


歩行者が横断歩道の近くを赤信号で渡っているケースです。自動車は信号を守っていても、3割の過失割合となります。

同じく「横断歩道の手前での事故」の場合です。

  • 歩行者が赤で横断開始、車が黄で進入 → 歩行者:自動車=50:50
  • 歩行者が赤で横断開始、車が青で進入 → 歩行者:自動車=70:30

横断歩道の手前での事故


歩行者が横断歩道を渡らない上に、信号無視をしているケースです。自動車側の信号が青であれば、自動車の過失割合は3割となります。

歩行者は自動車の修理代を払わなきゃいけない?

一般の人の中には、歩行者は被害者なので自動車側の修理代を払わなくても良いと考えている人がいます。インターネット上の質問サイトでもそのような意見が散見されます。

しかし、実際には、歩行者であっても過失割合に応じて、損害額のうち一部の賠償を負担しなくてはいけません。ただし、歩行者のケガの方が損害が大きいため、自動車運転手側は示談を円満に進めるために、賠償を請求しないということもあります。

歩行者の過失が大きい事故の場合は、高額な自動車修理費用の大部分を賠償として求められることになります。轢かれた側だから賠償はないというのではなく、過失割合に応じて賠償は発生しますので、注意が必要です。

歩行者の過失割合が高い場合は、自賠責保険へ被害者請求する手も

民事裁判を起こすと、過失割合に基づいて賠償金が算出されます。そのため、もしも過失割合が大きいと、その分だけ賠償金が減額されます。これは任意保険も同じです。

ところが、自賠責保険では過失相殺は行われません。6割以下の過失割合の場合、自賠責保険であれば、満額の補償が受けられる可能性があります。これは自賠責保険のそもそもの成り立ちに由来しています。この保険は被害者を救済するという性格が強いため、重大な過失でない限りは減額がされないのです。

歩行者の過失割合が7割を超えると、自賠責保険でも減額へ

過失相殺のない自賠責保険ですが、それでも7割の過失割合を超えると重過失減額が発生します。たとえば、7割の過失割合を超えると、傷害の場合、保険金から2割が減額されます。

もしも歩行中に7割の過失の事故を起こし、自動車によって後遺障害が残るようなケガを負ったら、自賠責保険へ被害者請求することが得策です。これであれば保険金は2割減ですみますが、もしも訴訟を起こせば、過失割合通りの7割減の賠償金となり、大きく金額が下がります。

交通事故の被害に遭った歩行者は弁護士に相談を

歩行者が巻き込まれる事故は被害が大きくなりがちです。大きなケガに対しては、相手の保険会社と交渉をするよりも、弁護士に依頼して交渉をしてもらう方が慰謝料の増額が期待できます。弁護士であれば、保険会社よりも高い相場で賠償金を算出するためです。

弁護士に相談すべき理由はそれだけではありません。歩行者の信号無視や飛び出しなどの過失によって起きた事故であっても、弁護士に相談されるべきでしょう。過失が大きい場合は賠償額も高くなるため、法律のプロが交渉に入る余地があります。

また、そもそも相手の保険会社が主張する過失割合が適切なのかどうかも分かりません。弁護士に依頼すれば、過失割合の言い分をチェックしてもらうことができます。

歩行中に交通事故に遭った場合は、弁護士が一番良い方法を考えますので一度無料相談をご利用ください。

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