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更新日:2020/07/27
公開日:2020/04/20

交通事故のケガの治療に健康保険を使う場合の注意点

交通事故 健康保険

初めて交通事故に遭った方がとまどうのが治療費の支払いについてです。通常、ケガや病気で通院する際には健康保険を使いますが、交通事故の際も使えるのか?あるいは他に支払い方法があるのか?気になるところです。

この記事では健康保険を使ったほうがいい場合や使うことのデメリットについて解説します。

交通事故の支払いの3つのパターン

交通事故の場合、病院での医療費の支払いのパターンはいくつかあります。

  • 最初から相手側の任意保険会社に自由診療として費用を払って貰う方法
  • 被害者が自由診療として費用を建て替え、相手側の自賠責保険に請求する方法
  • 被害者が健康保険を使い、後で加害者側の保険会社に請求する方法

しかし、病院によっては健康保険の適用を断る場合があリます。その理由は、民法や自動車損害賠償保障法の規定により、第三者による加害の場合は加害者が治療費を支払うのが原則であるためです。

自費診療でも加害者に請求ができることから、交通事故の場合は自費診療が行われているのです。病院側としても、自由診療のほうが費用が高いというメリットがあるのも事実です。

交通事故のケガの治療に健康保険を使うには

実際に交通事故で負ったケガで病院に行ったときに、健康保険を適用してもらうには以下のことを行いましょう。

  • 病院にて健康保険を使う旨を申告する
  • 健康保険組合に「第三者行為による傷病届」を届け出る

病院では健康保険を使う旨をしっかりと伝える

交通事故の場合に健康保険を適用してもらうには、病院できちんとその旨を伝えておかなければいけません。健康保険証を無言で提出するだけでは、単なる初診時の身分証明とみなされ、受付の際に「交通事故扱いですね」と言われる可能性があります。交通事故扱いとは自由診療が可能ということです。

「第三者行為による傷病届」を届け出る

健康保険の決まりとして、第三者による加害行為は健康保険組合に届け出をする必要があります。交通事故はこれに該当しますので、健康保険を使うには「第三者行為による傷病届」の届け出を行ってください。

この「第三者行為による傷病届」を届け出ないと交通事故のケガは保険診療が受けられないと誤解されている人も少なくありません。しかし、この届け出をしてからでないと保険が使えないということはありません。心配な場合は、病院に掛かる前にでも、一度健康保険組合に連絡をしておくと安心です。

健康保険組合に後日提出する書類としては以下のようなものがあります。

  • 第三者行為による傷病届
  • 念書
  • 事故証明書
  • 事故発生状況報告書
  • 納付誓約書等

詳しい書類や提出方法については、各保険者にお問い合わせください。

健康保険を使ったほうがいい場合

病院では被害者が費用を立て替えることは少なくありません。その場合は、健康保険を使ったほうが、持ち出し金額が安くなります。実際に、被害者が病院で健康保険を使いたいと思う理由のほとんどは費用が安いからでしょう。

しかし、治療費が安くなる以外にも健康保険を使った方がいい場合があるのです。それは以下のような場合です。

  • 過失割合が有る場合
  • 相手が任意保険未加入の場合

順に何故そうなるのかを説明します。

過失割合が有る場合

まず、過失割合がある場合、相手の保険会社からの賠償金額を計算するには以下のように行います。

賠償金額=(治療費+入通院慰謝料+休業損害)✕(1-過失割合)-治療費

たとえば2割の過失割合があり、相手の任意保険会社に自由診療にて全額医療費を払ってもらったとします。

自由診療の方が費用が高い分、(1-過失割合)をかけると金額が高くなります。さらにそこから保険診療よりも高額な自由診療費が引かれるため、残った金額は自由診療の方が保険診療よりも少なくなってしまうのです。

これを数字で例示します。治療費を自由診療が180万円、保険診療が27万円、入通院慰謝料を30万円、休業損害を50万円とします。

自由診療の賠償金額は
(180万円+30万円+50万円)✕(1-0.2)-180万円
=260万円✕0.8-180万円
=28万円

保険診療の賠償金額は
(27万円+30万円+50万円)✕(1-0.2)-27万円
=107万円✕0.8-27万円
=58.6万円

自由診療と保険診療の保険金

 

このように、保険会社から払われる賠償金の金額は保険診療の場合のほうが多くなります。

相手が任意保険未加入の場合

相手が任意保険未加入の場合は、相手の自賠責保険が賠償金を支払うことになります。自賠責保険の場合、被害者が治療費を建て替えますので、より金額の低い保険診療のほうが負担が少なくなります。

また、自賠責保険の補償額は120万円が上限です。もしも上限を超えた場合は、直接加害者に請求することになります。しかし、加害者から残りの賠償金がきちんと支払われる保証はありません。そのため、このような不確定な状況では、やはりより金額の低い保険診療が最善策です。

保険会社から健康保険に切り替えるよう言われたら

ケガの治療が長引き、症状固定しても良い時期が過ぎると、相手の保険会社から治療費の打ち切りをほのめかされたり、健康保険に切り替えてくれないかと催促されたりすることがあります。

もしもまだ治療が長引きそうであれば、交渉をし、延ばしてもらいましょう。その場合は、医師に相談し、意見書を書いてもらうと良いでしょう。それを相手側の保険会社に送り、治療費の支払いの延長をお願いするという手順になります。

中には、強引に治療費の支払いが打ち切られることもあります。その場合は、被害者が自ら健康保険に切り替えて治療費を払うしかありません。もちろん、後でその保険診療分の費用も相手側に請求することになります。

健康保険を利用するデメリット

健康保険を使用することには何もデメリットが無いのでしょうか?実は保険診療にも短所はあります。それが診療の幅が狭くなるということです。

どういうことかと言いますと、保険診療だと被保険者の負担は低いですが、国に定められた治療しかできません。そのため、診療内容が狭まってしまったり、時間を掛けた高品質な治療は受けられなかったりすることがあります。

一方で、自由診療は各医療機関が自ら定めた治療内容と金額で行うものなので、新しい治療方法やまだメジャーではない治療が受けられます。

健康保険の治療費の問題で法律のプロに相談したいなら

普段私たちが何気なく使っている健康保険ですが、交通事故事件においてはこのように複雑になります。基本的には健康保険が使えるということを覚えておいてください。病院では受付の際に健康保険を使いたいとしっかり伝えましょう。

もしも、病院で言われたことが自分の認識と違う、保険会社が言ってくることがよく分からないということがあれば、弁護士に相談するのが良いでしょう。

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