交通事故のケガで通院する際の慰謝料を計算するには?

交通事故のケガで通院する際の慰謝料を計算するには?

交通事故に遭い、ケガを負った場合、病院に通院しながら治療を行うことがあります。また、手術が終わり、退院した人でも引き続き通院が必要なことがあります。入院の場合は慰謝料が支払われますが、通院の場合はどうなるのでしょうか。金額を求めるためのきちんとした計算式などがあるのでしょうか。交通事故で通院する場合の慰謝料を計算する方法をお教えします。

通院でも慰謝料が請求できる

交通事故でケガを負ったら、通院でも慰謝料が請求できます。慰謝料にも色々な種類がありますが、通院がもたらす精神的な負担に対する賠償金が通院慰謝料です。通院にかかる費用の賠償とは別で、こちらは積極損害として請求します。通院に対する慰謝料は通院期間を基に計算していくことになります。

通院慰謝料は通院期間で計算する

通院慰謝料は通院期間あるいは通院日数で計算します。ケガの大きさや治療内容によって金額が決まるわけではありません。さらにその基準は1つではなく、3つ存在します。それぞれの立場で基準が異なり、金額も変わってきます。その3つの基準とは以下です。

  • 自賠責基準
  • 任意保険基準
  • 弁護士基準

自賠責基準の通院慰謝料の計算方法

自賠責基準とは自賠責保険で採用されている慰謝料の基準です。自賠責基準の通院慰謝料の計算方法は以下のようになっています。「通院実日数の2倍」と「治療期間」のいずれか小さい数に4,200円をかけた金額が慰謝料となります。4,200円は一日あたりの慰謝料です。実際に計算をしていきましょう。

たとえば通院2か月で通院実日数25日だとします。
通院実日数の2倍・・・25日✕2=50日
治療期間・・・60日間
50日<60日間
50日✕4200円=21万円
よって、通院2か月で通院実日数25日のときの自賠責基準での通院慰謝料は21万円だとわかります。

任意保険基準の通院慰謝料の計算方法

任意保険基準の通院慰謝料の計算方法は自賠責保険のようには決まっていません。また、現在、任意保険で使用される基準は発表されておらず、かつて使われていた旧基準が参考にされています。それによると、2か月の治療期間の慰謝料は252,000円です。

弁護士基準の通院慰謝料相場

弁護士基準とは裁判基準ともいい、過去の判例を基に相場が作られています。実際の賠償請求に関する民事訴訟においても弁護士基準が参考にされます。

弁護士基準の通院慰謝料相場には絶対的な指標はなく、複数の刊行物などで発表がなされています。代表的なものは日弁連交通事故相談センター本部発行の「交通事故損害額算定基準」(いわゆる青本)と同東京支部発行の「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(いわゆる赤い本)です。地方にはその他の刊行物が参考にされています。

以下が赤い本の通院慰謝料相場のうち別表Ⅰというものです。通常のケガでは、この別表Ⅰを参考にすることになります。むち打ちや打撲などでは少し金額が低い別表Ⅱを参考にします。

傷害時の慰謝料算出表

続いて、青本の通院慰謝料表です。実際は赤い本のように、入通院慰謝料の両方が一つの表になっていますが、ここでは通院のみに省略しています。慰謝料の金額に幅がありますが、下限値がむち打ちなどの場合で、通常は上限値の8割程度の金額が参考にされます。たとえば、2か月の入院の場合では46万円程度が普通です。

通院期間 慰謝料
1か月 16~29万円
2か月 31~57万円
3か月 46~84万円
4か月 57~105万円
5か月 67~123万円
6か月 76~139万円
7か月 84~153万円
8か月 90~165万円
9か月 95~174万円
10か月 100~182万円
11か月 103~189万円
12か月 106~194万円
13か月 108~198万円
14か月 110~201万円
15か月 112~204万円

実際に通院慰謝料を計算

3つの基準を見たところで、実際に計算式を使って通院慰謝料を算出してみましょう。ここでは3か月、5か月、1年の通院の場合の慰謝料を求めていきます。なお、弁護士基準は赤い本と青本の相場を併記しています。

3か月間の通院慰謝料の計算

まずは3か月間の通院慰謝料の計算方法です。仮に3か月間に合計36日通院したとします。自賠責基準での計算方法は以下のようになります。

通院実日数の2倍・・・36日✕2=72日
治療期間・・・90日
72日<90日
72日✕4,200円=302,400円

慰謝料の基準 3か月間の慰謝料金額
自賠責基準 302,400円
任意保険基準 378,000円
弁護士基準 赤い本:73万円(通常)、53万円(むち打ち症など)
青本:46~84万円(通常は67万円程度)

5か月間の通院慰謝料の計算

次に5か月間の通院慰謝料の計算はどうなるか見てみましょう。5か月間に60日通院したとすると、自賠責基準での計算方法は以下のようになります。

通院実日数の2倍・・・60日✕2=120日
治療日数・・・150日
120日<150日
120日✕4,200円=504,000円

慰謝料の基準 5か月間の慰謝料金額
自賠責基準 504,000円
任意保険基準 567,000円
弁護士基準 赤い本:105万円(通常)、79万円(むち打ち症など)
青本:67~123万円(通常は98万円程度)

1年間の通院慰謝料の計算

では1年間の通院慰謝料の計算はどうなるのでしょうか。ここでは1年間に85日通院したとして計算します。すると、自賠責基準では以下の金額になります。

通院実日数の2倍・・・85日✕2=170日
治療日数・・・360日
170日<360日
170日✕4,200円=714,000円

慰謝料の基準 1年間の慰謝料金額
自賠責基準 714,000円
任意保険基準 932,000円
弁護士基準 赤い本:154万円(通常)、119万円(むち打ち症など)
青本:106~194万円(通常は155万円程度)

計算上はこのようになりますが、これほど長期の通院となるケースはあまり多くはないと言えます。保険会社はできるだけ早くに治療の打ち切りを主張しますし、仮に1年という長期間の通院が実現しても、後に裁判などでその必要性が争われる可能性は充分にあります。

ほとんどの場合、1年以内に症状固定となり、事故後半年くらいまでには後遺症の診断を受けます。それに応じて、後遺障害の等級認定を申請することになります。後遺障害等級が認定されたら、後遺障害慰謝料を請求することができます。

15か月以上の長期通院の慰謝料計算方法

弁護士基準の慰謝料表を見ると、15か月までしか欄がありません。その後はどうするのかというと、最後の月とその前月の差額を最後の月に追加していくという計算で慰謝料を算出します。

たとえば、骨折により16か月の通院を行ったとして、その慰謝料を計算すると、
最後の月の慰謝料・・・164万円
最後から一つ前の月の慰謝料・・・162万円
164万円-162万円=2万円
164万円+2万円=166万円

よって、通院16か月の慰謝料は166万円(弁護士基準)になります。

退院後に通院となった場合の慰謝料計算方法

交通事故によるケガで入院し、手術などを終え、ある程度回復すると、通院しながらの治療に移行します。入院と通院の合計期間が治療期間と考えますので、入院後の通院慰謝料を計算する際は入院期間も関係します。

退院後に通院となった場合の弁護士基準の慰謝料計算方法は、赤い本や青本の慰謝料表が分かりやすいです。慰謝料表は横軸が入院期間、縦軸が通院期間を表しています。たとえば、入院1か月、通院3か月であれば、それぞれの行と列が交わる箇所を見れば一目瞭然です。慰謝料表を見ると、この場合は115万円となっています。

これを計算で求めるには、全期間の通院慰謝料から入院期間の通院慰謝料を引いて、最後に入院慰謝料を足すという方法になります。例として、入院1か月、通院3か月の慰謝料(弁護士基準)を計算すると以下のようになります。

全期間の通院慰謝料-入院期間の通院慰謝料+入院慰謝料
=(1か月+3か月)の通院慰謝料-1か月の通院慰謝料+1か月の入院慰謝料
=90万円-28万円+53万円
=115万円

単純に1か月分の入院慰謝料と3か月分の通院慰謝料を足せば答えが求められるのではない点に注意が必要です。弁護士基準では、期間が長くなるに連れて慰謝料の上昇率が下がります。通院は3か月であっても入院も含めた治療期間としては4か月目に該当しますので、このような計算方法となります。

通院慰謝料が相場よりも減ってしまう場合

通院慰謝料の計算方法を見てきましたが、通院期間に応じてもれなく慰謝料が請求できるわけではありません。通院慰謝料が相場よりも減ってしまう場合もあるのです。それは以下のようなケースです。

  • 必要性のない通院をしていた場合
  • 通院日数が少ない場合

必要性のない通院が認められた場合は、必要であった通院の日数を基に慰謝料が算定されることになります。

通院日数が少ない場合の慰謝料の計算方法

通院日数が少ない場合の慰謝料の計算方法は以下のようなものです。むち打ち症と通常の骨折などの場合で異なります。

症状 みなされる通院期間
むち打ち症 通院実日数✕3
骨折など 通院実日数✕3.5

例えば、むち打ち症で3か月間に20日間通院したとすると、任意保険基準や弁護士基準であれば、本来3か月分の慰謝料が請求できます。しかし、これでは通院日数に比して慰謝料が多くなってしまうため、20日✕3=60日として2か月分の慰謝料が妥当とされます。

むち打ち症で3か月間に20日間通院した場合の慰謝料(通院2か月として計算)
慰謝料の基準 慰謝料金額
自賠責基準 168,000円
任意保険基準 252,000円
弁護士基準 赤い本:52万円(通常)、36万円(むち打ち症など)
青本:31~57万円(通常は46万円程度)

通院は治療費を打ち切られてもやり切ること

保険会社は治療費の打ち切りを言い渡してくることもあります。それでも通院は治療費を打ち切られてもやり切ることです。症状が固定するまで、自費に切り替えてでも通院を続けましょう。

治療費を打ち切るとは保険会社の補償を打ち切るという意味で、その後も自腹で建て替えて後で請求することができます。保険会社は治療費の打ち切りと共に、被害者が治療を止めることを期待しています。治療を止めることで、その分賠償金が少なくなるためです。しかし、途中で通院を止めると、再通院をすることになったときにその費用を請求することはできなくなってしまいます。

抑えておきたい通院慰謝料のポイント

通院慰謝料の計算方法や減額される場合などを説明してきました。計算式などもあり、見づらい面もあったかと思いますので、ここで抑えておきたい通院慰謝料のポイントをまとめてみます。

症状が固定するまで通院するべき

通院慰謝料を多く請求するには出来る限り通院するべきです。通院回数が少ないと、通院慰謝料が減額されてしまうためです。

しかし、ここで同時に注意すべきなのは、必要性のない通院はしないということです。交通事故の被害者の中には症状を偽り、できるだけ入通院を延ばして慰謝料を取ろうとする人もいます。保険会社はそのような悪質なケースを警戒しており、場合によっては必要以上の治療費の請求だとして訴訟を起こされることもあります。

このようなトラブルに遭わないためには、早めに弁護士に依頼しておくことです。弁護士に依頼することで、保険会社の言うことを聞くべきなのかどうか、治療期間や後遺障害の申請方法についても教えてもらうことができます。

慰謝料の金額が一番高いのは弁護士基準

交通事故でケガを負った際を想定し、具体的な通院期間を基に通院慰謝料の計算を行ってきました。それぞれの計算結果を見てみると、慰謝料の金額が一番高いのは弁護士基準だということが分かります。弁護士基準の慰謝料だと、自賠責基準の2倍程度にまで及ぶこともあります。いかに保険会社の補償額と裁判などで獲得できる慰謝料に開きがあるか、お分かりいただけたことでしょう。

保険会社に示談を迫られて、条件を鵜呑みにしてしまうと、このような低い慰謝料で承諾してしまうことになります。もしも適切な賠償を求めるのであれば、弁護士に依頼することをお薦めします。

無料相談が利用できる弁護士を多数ご紹介

弁護士に依頼することで、通院慰謝料だけでなく、賠償金の他の項目も弁護士基準で請求することができます。結果として、相手の保険会社が提示する示談金額とは大きな開きが生まれます。また、賠償金が増額できるだけでなく、法的手続きのサポートや手順の相談など様々な面で相談に乗ってもらうことができのるのも頼もしい点です。

とはいえ、実際のところは獲得が期待できる賠償金額が低ければ弁護士に依頼することは難しいものです。無料相談であれば、賠償金額についても尋ねることができます。納得した上で弁護士に依頼できるのが無料相談のメリットです。

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