労災の休業補償給付と自賠責のどちらを選ぶべきか~同時受給は可能か

交通事故に遭って仕事を休んだ場合に、本来は得られるべきはずの給与や収入を補償する手段はあります。自賠責の休業損害のほかにも、労災の休業(補償)給付があげられます。休業補償給付の最大の特徴は、補償期間が最長1年6か月あることです。治療が長引いた場合、つまり休業が長くなった時には、自賠責ではなく労災を選択した方が良いことになります。

ただ、自賠責と労災の休業補償は、労災の補償額を減額さえすれば、同時受給が可能なことにも注意したいものです。自賠責の休業損害(補償)との比較をしながら、休業(補償)給付について分かりやすく説明します。

労災が適用されるかどうか

労災が適用されるのは、事故が起きたのが業務上であること、あるいは通勤途中であることが条件となっています。

業務中に事故にあった場合は、「業務災害」に当たりますが、具体的には次のケースが考えられます。

①事業主の支配・管理下で業務に従事していた
②事業主の支配下にあるが、管理下を離れて業務に従事していた

①と②の両方とも、業務災害として認められます。注意したいのは、「事業主の支配下にあったかどうか」ですが、事業主の支配・管理下にあっても業務に従事していない場合は、業務災害として認められません。

「通勤災害」と呼ばれている通勤途中の事故は、条件次第では、単身赴任者の帰省時についても適用されます。また、会社・住居間の経路の途中の立ち寄りであっても、厚生労働省令で認められた行為に当たれば、移動の経路について労災適用されることになります。

労災保険における休業補償制度とはどのようなものなのか見てみましょう。

休業補償とは

休業補償の正式な名称は、

業務上負ったケガ(疾病)の場合 休業補償給付付
通勤時に負ったケガ(疾病)の場合 休業給付

となります。

それぞれの給付を受けるには、3つの要件を満たさなければなりません。

  1. 業務上または通勤による負傷や疾病のための療養
  2. 労働することができない
  3. 賃金をもらっていない

具体的にどのような給付を受けられるのでしょうか。

給付の内容

労災の休業補償制度は、2つの要素で成り立っています。つまり、休業(補償)給付、そして休業特別支給金です。2つは次の式で求められます。

休業(補償)給付=(給付基礎日額の60%)×休業日数

休業特別支給金=(給付基礎日額の20%)×休業日数

2つを合わせると、給付基礎日額の80%(60%+20%)が支給されることが分かります。ただ、支給額が100%ではない部分だけで判断するべきではないのです。これから説明する労災制度の全体像をとらえたうえで、受給の判断をされることをおすすめします。

給付額算定の根拠となる給付基礎日額

給付額を算定するうえでの重要な要素である給付基礎日額について解説します。

業務上または通勤によるケガ・死亡の原因である(交通)事故が発生した日、または疾病発生の際の医師による診断日が起算となります。これよりも前の3か月間に支払われた賃金の総額(ボーナスや臨時支給金等をのぞく)を求めたうえで、3か月間の暦日数で割ると1日当たりの賃金額が算出されます。

直前3か月間に支払われた賃金 ÷直前3か月間の暦日数=給付基礎日額

もう一つの式の重要項目である、休業日数を解説する前に知っておきたいことは、自賠責の休業損害の場合とは休業の考え方が異なるということです。受け取り金額が異なってくるため、休業日数のとらえ方は重要です。ほかの論点とも絡めて自賠責と労災の比較検討をしてみます。

労災と自賠責の共通点

休業日数

休業日数について自賠責と労災で共通しているのはどんな点でしょうか。

被害者が仕事を休んだとされる理由をあげていきます。自賠責と労災のいずれにも共通しているものです。

  • 手術
  • 入院
  • 通院治療
  • リハビリ
  • 自宅療養

大前提となるのは、いずれの事由であっても、医師の診断が必要となることです。手術・入院・通院治療までは、医師の指示や判断なしで行われることはないはずですが、リハビリのための通院や自宅療養については、被害者の独自の判断で行うことができます。ところが、医師の判断または診断書が要求されるのです。

「休業とされるのがいつまでなのか」についても共通点があります。

労災保険における傷病が「治ったとき」とは、傷病の症状が安定し、これ以上の医療を行っても、医療効果が期待できなくなった状態をいうのです。労災保険では、この状態を「治癒」(症状固定)と言います。

自賠責保険でも「症状固定」の日をもって休業補償の給付は終了するため、二つの制度の共通点と言えるでしょう。

労災と自賠責の違い

有給休暇の扱い

自賠責と労災の違いについて見てみます。最初に自賠責の休業日数がどのようなものかを説明します。

自賠責の場合は、たとえ有給休暇を取って通院等をしていたとしても、休業日数に数えられるのに対して、労災では有給休暇を取った際には、休業日数としてカウントされません。労災給付のための3要件のうちの一つに「賃金をもらっていない」とあるからです。

給付額

労災の休業補償給付額は、給付基礎日額の80%のみの支給となる一方で、自賠責の休業損害では100%が保証されます。

自賠責と労災の2つの制度を比較してみましたが、2つは同時に受給できるのでしょうか。

自賠責と労災のどちらを選ぶべきか

2つを同時に受給できるのか

結論から言うと、同時に満額受給することはできませんが、満額の受給は不可能であっても減額調整するならば、2つを受給できるのです。

つまり受け取ることができるのは、

受給可能額=自賠責保険の休業損害(補償)+労災の休業特別支給金

となります。

もう一度労災の休業給付の算式を記します。

①休業(補償)給付=(給付基礎日額の60%)×休業日数
②休業特別支給金=(給付基礎日額の20%)×休業日数

自賠責を受給した場合、①が受給できなくなる一方で、②の特別支給金を受け取ることは可能なのです。

自賠責と労災は、ある部分では同時受給できるものの、満額の同時受給ができないのが大前提であるため、いずれか一方を選ぶ必要があるケースも出てくるはずです。

注意したいのは休業=治療が長引いた場合です。

休業が長引いたケースでは

【自賠責】休業損害の打ち切り

加害者が加入する任意保険会社は、保険金の支払いを抑えるため、治療費とともに、休業損害を打ち切る場合もあります。

自賠責保険の人身傷害の保険金限度額は、120万円と定められています。内訳は、治療関係費、文書料、休業損害、慰謝料となっています。自賠責適用の場合には健康保険が適用されずに自由診療となるため、保険適用に比べて治療費が膨らみます。このため、治療=休業が長引けば治療費と休業損害を合わせた金額が120万円を超えることになります。

自賠責の限度額120万円を超えた場合、超過分を負担しなければならない任意保険会社が治療費と休業損害の支払いを打ち切る可能性は高くなるのです。

加害者が任意保険に入っていない場合は、被害者が治療費を自己負担することになるうえ、休業損害の受け取りもできなくなってしまいます。

【労災】休業補償給付のメリット

労災における休業給付は最長1年6か月とされています。自賠責の補償額が100%であるのに対して、労災の休業給付が80%であるのは、労災を選ぶうえでの不利益ととらえられます。とはいえ、自賠責の限度額が120万円であることを考えれば、給付期間が1年6か月というのはメリットのある条件のはずです。

労災制度では、所定の要件を満たせば、休業補償から傷病補償年金に切り替えることが可能です。厚生労働省が定める「傷病等級」の第1級から第3級についてのみ認められることになります。傷病補償年金が支給される場合は、継続して療養(補償)給付=治療費が支給されます。ただ、前提とされる傷病の程度が重すぎるのが難点です。

弁護士に依頼するメリット

被害者の方が抱えている条件によって、労災を選ぶのか、自賠責にするのか、同時受給かの選択肢が変わってきます。判断は簡単ではないため、プロのアドバイスを得た方が安全です。

  • 労災の申請を代行してくれるため時間を節約できる
  • 被害者の方にとって有利な選択肢を判断できる
  • 依頼した方がより多額の補償を得ることができる

といったメリットがあるのです。

交通事故を専門とする弁護士に無料相談してみてはいかがでしょうか。きっと解決方法についてのアドバイスをしてくれることでしょう。

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