こりゃ事故なくならないわ・・・高齢者の事故回避アンケートがひどすぎる!

高齢者の運転

老年の悲劇は老いているところにはなく、まだ若いと思うところにある。

交通事故の発生件数は、10年以上連続して減少傾向にあります。
ただ年齢別に見ると、高齢者と呼ばれる世代が引き起こす交通事故は逆に増加しています。

これは日本人全体が高齢化して、お年寄りが増えたというのも大きな理由でしょう。
しかしそれ以上に高齢者の交通事故が増える理由があるのです。

それは高齢者自身が、自分の老いによる衰えを自覚できていない点になります。

190世紀のイギリスの作家オスカー・ワイルドは、

「老年の悲劇は老いているところにはなく、まだ若いと思うところにある。」

という名言を残していますが、高齢者の交通事故が増えている大きな原因は、この名言にこそ表されているといってもいいでしょう。

その昔、1997年に道路交通法が改正され、75歳以上の高齢者ドライバーには、「高齢運転者標識」というシールを車に貼って運転することが決まりました。

[参考]道路交通法

免許取り立てのドライバーに貼ることを義務付けた「若葉マーク」に絡めて、この高齢運転者標識は「枯葉マーク」と陰口を叩かれたのですが、当時はまだ強制ではなかったのです。

しかし運転免許センターで、センター局員から高齢運転者標識をつけるように勧められた老人は、

「何をいう? ワシはまだ若い!」

と激怒する人が珍しくはありませんでした。

老いによる衰えは、ある日突然やって・・・こない

ところが、年齢による反射神経や脳の判断力の衰えというのは、大学の研究室などで、実際に数値として出されています。

運転シミュレーターを使った実験によれば、交差点で迫ってくる対向車を認識して回避するまでの時間的余裕は、若者だと平均1.9秒でしたが、70代の高齢者の平均時間は1.2秒だったのです。

つまり高齢者の方が危険を認識して、回避するまでの時間が若者比べて、平均で0.7秒も遅いことになります。

0.7秒というと大したことはない様にも思われるかもしれませんが、対向車が走っている速度が法定速度(60km/h)だと仮定し、一般道だと0.7秒の間に車は約12メートルも進むのです。

こうした年齢による反応速度の衰えは、やはり無視できないものだといえます。

ただそうした高齢による衰えを、高齢者自身が自覚しているかというと、知識としては知っていても、自分の問題だと思っていないドライバーが山ほどいるというのが実態です。

NHKのクローズアップ現代で興味深いアンケート結果があったので記載しておきます。

事故を回避する自信があるかという年代別データ

(これは所さんが調べた、事故を回避する自信があるかという年代別データ。
60、そして70、75歳以上の方、ぐっと増えてるが?)
これは、自分の運転テクニックであれば、十分危険を回避できるかどうかということに関して、イエスと回答した人の割合ですが、今おっしゃられたとおり、70歳を超えるとぐんと上がってまして、75歳以上の方では、実に53%に達しているということです。
(どうしてか?)
これはですね、長年の経験から、交通規則よりも自分の経験則を重視してしまっているというようなことですね。
今まで自分の経験を重視して、大きな事故に遭ったわけでもなかったと。
ですから、交通規則よりも自分の経験則のほうを大事にしたいということかと思います。
(年を重ねて、生き方に自信を持つのはいいけれども、運転に関してはそうではないと?)
ということですね。

運転し続けたい – NHK クローズアップ現代

これを見て分かる通り、高齢になるにつれて事故の回避は容易だと考えているようです。

身体能力の衰えから免許証を返納する高齢者

高齢の方で運転免許証を返納する、という話はたまに聞きます。そういう方が車の運転を辞めようと思ったきっかけは、

「久しぶりに運転したら、怖くなった」

という理由が多いようです。

つまり、普段車の運転をしなくった高齢者がたまたま運転したら、昔の感覚と実際の体の反応のギャップに気づいてしまったわけです。

こうした体験がきっかけで自分の衰えに気づき、車の運転を辞めようと思える方はいいのですが、問題は高齢になっても毎日運転をしている人でしょう。

老化による身体の衰えというのは、ある日突然現れるものではありません。
少しずつ筋力が衰え、目が見えにくくなり、判断力が低下していくのです。

ですから、大抵の高齢者は自分の気づかないうちに、車の運転が危険なほど身体能力が衰えても運転を続けてしまいます。

この高齢者の交通事故問題は、近年警察も対応に本腰を入れ、免許更新の時に高齢者へ高齢による衰えを自覚してもらうように講習などを行って呼びかけているわけです。

高齢者ドライバーは、法的に制限できない?

高齢者ドライバーによる交通事故の増加が、今ほど深刻になる以前から、

「運転免許証には、年齢の上限をつけるべきではないか?」

という提案はされてきました。

ご存知の通り、自動車の運転免許証は、取得可能になる年齢(下限)は定められています。

しかし一度取得した免許は、高齢によって失効することはありません。本人に免許を手放す気がなければ、基本的には死ぬまで有効なのです(違反などで強制的に免許取消になった場合を除く)。

そんなわけで現在も70代ドライバーだけではなく、80代とか90代の現役ドライバーが実在します。
とはいえ、高齢者による自動車運転が危険だということも事実で、これまで何度も運転免許証を持てる資格に年齢的な上限を定めようという動きはあったのです。

そうした上限を現在も法律で定められていないのは、

  • 高齢による衰えは個人差が大きい
  • 一部地域では年齢に関係なく、自動車は必要不可欠な移動手段である

という理由になります。

今のところ警察は高齢者を70歳以上として70歳以上のドライバーには免許更新の際に、高齢者向けの講習を受講することを義務付けるようになりました。

ただ同じ70歳でもカクシャクとしている元気な方も珍しくはありませんし、単に年齢で制限を設けるにはやはり無理があります。

また交通インフラが乏しい地域では、自家用車が唯一の移動手段だという場合も多く、しかもそういう地域に限って住人の皆さんは高齢者が多かったりします。

年齢制限で免許を取り上げられてしまうと、日用品の買出しすら出来なくなってしまうわけです。

そんなわけで、高齢者の交通事故増加というのは、解決すべき問題ですが、意外に根の深い問題でもあります。

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